先日、県臨床心理士会でゲートキーパー研修等を担っている理事の先生よりお話を伺いました。
当ブログでは、「私生活」がテーマとなっております。
自殺によりかけがえのない命が失われることは、つまりあなただけのかけがえのない「私生活」が失われること。
理事から話を伺った翌日、私にできることはなんだろう。
日頃家族と会話をすること、友人、同僚とコミュニケーションを大事にすること。
専門家として、死にたい気持ちに目を背けないこと。
そしてブログを書いているのなら、一人でも多くの方の目に留まっていただけること、尊い命が不当に失われることを減らすために発信すること。
そのような思いで記事にさせていただきました。
25分に1人、1日57人
この数字は、日本人の自殺者数から割り出した数字です。
年間約2万人。
国全体の取り組みで、以前よりは減少傾向にあるようですが、それでもこれだけの数の方が亡くなっています。
年代・性別分布の特徴
50代 働き盛り年代男性が多い
これは、以前から続く傾向です。
「一家の大黒柱だったり、弱音を吐けない、それが悪いことだと感じやすい」傾向からと推測されます。
コロナ禍:10代の若者、女性の増加
加えて、コロナ禍と同時期の傾向として、中高生や、女性の自殺者が増加している傾向にあるようです。
就労環境の悪化、人との繋がりの低下、有名人の自殺報道の影響(ウェルテル効果)などが要因として推測されます。
自殺=生きづらさが蓄積した最悪の結末
自殺はある日急に行なわれるわけではありません。
『自殺実態白書』によると、自殺の完遂まで、おおよそ5年〜7年、時が蓄積されて実行されるとされています。
仕事、お金、人間関係、精神疾患、身体疾患、失業、過労等…様々な要因が重なり、蓄積し、絡み合い、数年かけて、最悪の結末に繋がる、とされています。
緊急時ほど専門家は役に立たない=リットマンの法則
残念ながら、今この瞬間に迫る危機的状況に、専門家は無力です。
臨床心理士、公認心理師の末席を汚す私としては、とても悔しい思いです。
緊急時ほど、専門家でも何でもない、ただの一個人、私人の力が必要です。
何か治療を施したり、専門スキルを駆使するのではなく、ただ死にたいほど辛い気持ちに寄り添う、聴く…専門家には決してできないこのことが、何よりも緊急時に有効とされています。
ヘルプ要請ができることと、ただ聞く覚悟を持つこと
上記自殺者数の傾向から、現在文科省は、
「SOS出し方教育」
「メンタルヘルスリテラシー教育」
に力を入れています。
なんだか眠れない、いつもと調子が違う、ということは自分の不調のサインであることに気づくこと、そして、誰かにSOSを出せる力を育む取り組みです。
そして勇気を出して身近な方に発信してくれたその言葉を、受け手は励ましたり、助言したり、何か介入しなくて良いのです。
ただ話してくれたことそのものが大切な宝物として受け止め、「よく話してくれたね」とじっと聞くだけで良いのです。
相手によっては、何も言葉にできないかもしれません。
無言の空間に、受け手がしんどくなるかもしれません。
ただ、時を共有し、一緒にいることが大切なのです。
このことが最も効果的だからこそ、結局赤の他人の専門家は無力で、一個人が何より大切である、と言われる所以なのかもしれません。
おわりに
日本の自殺者は年間約2万人。1日57人。25分に1人が自殺で亡くなっている計算です。
自殺はある日急に実行されるのではなく、数年かけて様々な生きづらさが蓄積した残念な結末と理解します。
危機時には、自殺する程の激しいエネルギーはずっとは保たないので、まずはピークが過ぎるまで何でもいいから会話を。
ピークが過ぎたり、なんとか時間を稼ぎながら、適宜医療機関、警察、救急、自治体、どこでも構いませんので通報・連絡相談を。
そして日頃気軽にヘルプ要請が出来、また話を聞く大切さを。
緊急時ほど専門家は役に立たないリットマンの法則。
つまり一番の自殺対策は身近な人間がただ寄り添うこと。かけがえのないあなたの「私生活」のために。
ここまでご覧いただき、ありがとうございます。
このブログが、あなたがあなたらしく生きるための土台づくりの、何かのヒントになれば幸いです。
コメント